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個別技術シート

個別技術シート集の利用上の注意点

1 個別技術シート集の作成方針と利用上の留意事項について

この個別技術シート集は、「持続可能社会における既存共同住宅ストックの再生に関する勉強会」において、共同住宅ストックの再生に資する技術に係る情報を収集した成果を踏まえ、平成24年8月に整理したものです。

ここに収集した技術は、鉄筋コンクリート造の中高層の既存共同住宅を対象にして、耐久性・耐用性、環境・省エネルギー性能、耐震性、防災性、高齢者対応の5つの分野で性能を向上させようとする場合に適用できる改修技術又は調査・診断技術のうち、現状広く利用されているもの、及び、今後重要性を増すと考えられる課題への対応のため活用が検討されるべきものを抽出しています。個別技術シートには、既存共同住宅の再生を検討する方の参考として頂くことを想定して、技術の概要や適用対象等を記載しました。実施しようとする調査や工事の内容に応じた技術の選択や、現に計画されている工事への追加的なニーズに対応した技術の選択等にご活用ください。

なお、目的や手段が共通していても建物の状況等によって利用すべき技術が異なる場合があります。このシートは、技術の選択に役立つよう一般的な適用対象等を示していますが、実際に調査や工事を進める段階で明らかになった具体的な諸条件の下で、調査や工事を実施する方の意見を聞く等により、その選択が適切かどうかを確認してすすめるようご留意ください。

2 個別技術シートに記載する内容について

(1) 分類・名称

① 「性能分野」は、5つの性能分野(耐久性・耐用性、環境・省エネルギー性能、耐震性、防災性、高齢者対応)のうちの該当するものを示しました。

② 性能分野ごとの個別技術は、「大分類」として活用目的を、「中分類」としてその目的を達成する手段を示し、分類しました。

③ 「技術の名称」には、当該技術の一般的な呼び方を示しました。なお、目的と手段が共通している複数の技術(工法)はできる限り1シートにまとめて記載しています。

(2) 技術の概要

「改修技術の概要」又は「調査・診断技術の概要」には、どのような技術か、どのように適用されるか等の情報を記載しています。複数の技術(工法)をまとめて作成したシートでは、これらに共通する内容だけでなく、技術(工法)ごとの違いや選択の考え方なども記載しています。

(3) 共同住宅のタイプごとの技術の適用

① 「技術の種類」には、「改修技術」と「調査・診断技術」との別を記載し、改修技術については、「劣化を補修する技術」、「性能を向上させる技術」の別を記載しました。

② 「共同住宅のタイプごとの適用可能性」では、共同住宅の仕様が供給時期により変遷していることを考慮した上で、大きく5つのタイプに分類して、それぞれに対する当該技術の適用可能性を示しました。

このタイプ分類は、「多世代利用型超長期住宅及び宅地の形成・管理技術の開発(多世代利用総プロ)」(H20~22 国土技術政策総合研究所)において、昭和55 年以前に供給したもの(A1 とA2)、昭和56 年~平成2年に供給したもの(B)、平成3年~12 年に供給したもの(C)、平成13 年以降に供給したもの(D)として設定された5つのモデルを踏まえたものです。

性能を向上させる技術については、多世代利用総プロの成果をもとにして建設時に標準的であったと考えられる仕様を想定し(代表的なものを下表に記載)、現在供給されている共同住宅の性能水準と比較してその適用可能性を記載しています。

(4)技術を組み合わせて活用するときに役立つ情報

<参照> 資料4-6 4-2 複数の技術を同時に組合せて適用する可能性

① 「常にセットで利用される技術」(改修技術のシート)には、その前後の工程で利用される技術を示しています。

② 「この調査を実施した後に利用される可能性のある改修技術」(調査・診断技術のシート)には、調査・診断結果を踏まえて実施することが想定されうる改修技術等を示しています。

③ 「技術が適用される建物の部位」には、共用部分(躯体・外壁、屋根、建具、設備・配管等、その他共用部)、専有部分(設備・配管、その他専有部分)のどこに適用される技術であるかを記載しています。改修技術のシートでは、設備の設置等に当たり建築基準法以外に注意すべき法令がある場合、主な法令の名称を記載しています(なお、適用法令は法令を網羅的に記載したものではありません)。また、調査・診断技術のシートでは、調査を実施する際に当該部位を破壊・微破壊することがある場合、その復旧の必要性について記載しています。

④ 「団地で適用した場合のメリット」には、複数の住棟が存在する団地では、その特徴(単棟の共同住宅と較べて、住棟周囲に空地が広く存在することや住戸数が多く密度が高いこと等)がその技術の適用に当たってメリットになる場合があるため、その内容を記載しました。

⑤ 「足場の設置が必要」には、当該技術を用いた工事又は調査を行う場合、足場を設置することが一般的である場合に必要と記載しています。

⑥ 「工事(調査)による居住者への影響」には、工事又は調査による影響を「数日以上居住できない住戸が発生」、「一時的な影響が発生」、「工事後に続く影響が発生」の3つの観点から分類し記載しています。

⑦ 「当該技術が利用される工事」(改修技術のシート)では、典型的な工事である「計画修繕」又は「耐震改修」を実施する場合、その技術をどのような役割で利用することができるかを記載しています。

⑧ 「当該技術が利用される調査」(調査・診断技術のシート)では、その技術を利用して調査を実施するのは一般的に居住者等か専門家か、専門家が実施する調査であればどのような場合に実施することが想定されるのかを記載しています。

⑨ 「技術的限界」には、建物の状況によってはその技術により目的とする改修や調査ができない場合があることから、注意すべき技術的な限界を説明しています。

(5)参考資料

① 国、学会等が発行している技術情報に関する参考資料、専門の調査機関が刊行している価格情報に関する参考資料等のうち主なものを記載しています。<参照> 資料4-6 4-3 共同住宅の修繕・改修工事の費用に関する情報